少年少女マドリガル

植木屋レトロスペクティブ : memoria発売に寄せて


M3で合同スペースだった「植木屋」さんが、10周年記念として
新作『memoria』を出しました。ちょうど良い機会だと思ったので、
サークル植木屋の誕生当時から、現在に至るまでを、作品と共に振り返ってみる事にします。

0:サークル誕生まで
taikiくんとの交友関係は、思えば、高校時代のバンドが始まりだった。
彼は、当時からすでに、ヘヴィーメタルの高速リフを、大音量で鳴らしていた。
音楽に真摯な姿勢は、昔から一貫していたように思う。
他のメンバーの手を抜いた演奏などがあれば、容赦がなかった。
(当時は、ギター共々、わりと尖っていた。私を含め、関係者は皆、ずいぶん柔らかくなったものだ。)

この頃の交流の縁から、後日、OHBA堂にて、ゲーム音楽の作曲を手がける事になる。
その作品がANGERAZEシリーズとなり、これが後の、植木屋での活動へとつながっていった。

1:月嘯
今やFate/stay nightで有名となった「TYPE-MOON」の、月姫という作品のアレンジCD。
同人音楽では珍しかった、生演奏のギターが主体の作品であった。
当時、taikiくんがKENSOを初めとする、プログレッシブ・ロックを
好んでいた事もあり、この作品はジャンルが「プログレッシブ・ロック」となっている。

別名だが、実は、私と村雨は、この作品のクレジットに出ている。
この事実を確認するため、久しぶりにこのブックレットを開き、そしてそっと閉じた。
若さの恐ろしさというものを、目の当たりにしたのであった。

2:星屑の丘
植木屋唯一のドラマCD。
OHBA堂のANGERAZEシリーズの二次創作であった。
初めて、レコーディングスタジオで収録した作品であり、外部のレコーディングスタジオで
収録されたものは、私の知る限り、本作だけである。
この時の経験は、後に植木屋スタジオでの活動で、生かされる事になった。

3:チャンピオン
アリスソフトの、往年の名作のアレンジCD。
月嘯と同様に、ギャルゲーのアレンジ作品であった。
この作品は、ジャンル表記が「ロック」になっている。
「アリスのアレンジCDだったら、タイトルはチャンピオンでいいんじゃねーか?」
という誰かの1声で、この名前に決定した。

インレイで、当時植木屋のトレードマークであった、紙袋達が出ている。
撮影した公園では、近所の子供達が一斉に逃げていった。すまない。
私と村雨もいるのだが、ここで特筆すべき点は、ピンク紙袋の人。
クレジットでは匿名希望となっているが、今のボーカルchikaさんである。

ちなみに、タイトルのきったない筆文字は、私の手書きである。
「殴り書きのようにしよう!」という話で、このような形に決定した。

4:まじなま!
ギャルゲーアレンジシリーズ第三弾にして、最後のアレンジCD。
ベースのsenくん初参加という事もあり、生演奏の比率が高くなっている。
今はボーカルのchikaさんも、三味線演奏で参加。

この時期から、AGHARTA発売後まで、人生が長い旅に出ていた為、私は不参加。
そのため、デザイン関係のクオリティが、あからさまに上がっている。

不思議に思っている方もいるだろうが、この作品は4作目なのに「UEKI-0005」になっている。
「間違い」「無料配布したCDで番号をつかった」のどちらかなのだが、
もはや関係者も、記憶が曖昧になっている。

5:AGHARTA
初のオリジナル、初の全編女性ボーカルもの、初のコンセプトアルバム。
この作品は、植木屋のターニングポイントであった。
女性的なセンスは、元来の植木屋には無いものであった。
chikaさんが、コンセプト考案に携わった事で、明らかに別のサークルになった。

この作品から、UEKIYA Domestic Studioの表記が出ている。
しかし、この作品は、皆さんがイメージするような、一般的なスタジオではなく、
過去作と同じ環境で作られていたりする。
今のUEKIYA Domestic Studioは、一般的なスタジオそのままである。

6:D . U . C Domestic Uekiya Cache
過去最短の期間で作成された、デスメタルCD。
この作品のノリは、昔の植木屋のそれに近い。
参加者全員が、他の参加者を煽り合う展開に発展。
そのせいで、ジャケットイラストは、初版の10倍くらいクラウザーさんになっている。
長い旅から帰還したので、自分も作品に参加。

インレイに「自分が親なら、子供には死んでも聞かせたくない」と書かれているが、
たぶんtaikiさんのご子息は、高速スクワット+ヘッドバッキングをしてくれると思う。

7:Allegoria
童話を元とした、コンセプトアルバム。
この作品から、皆さんがイメージするような、一般的なスタジオ環境で制作されるようになっている。
そのため、全体的なクオリティが、大きく底上げされたように思う。
外部のマスタリングスタジオの力を借りている点も、作品のクオリティ向上に一役買ったのではないだろうか。

この作品は、台詞パート参加や、デザイン関係での参加で、非常に思い出深いものとなっている。
「少女のシルエットが、横幅が大きな形で納品されたので、元の細さにそっと直した」
「人魚姫のフォントが呪われそう という話が出た」
「複数フォントから、Allegoria合成フォントを作った」
「縦横比と歌詞の関係から、黒い羽を細かく調整した」
「サークルロゴが、デザインイメージを破壊する という話になった」
などなど、多くの話が出た。
これ以降の作品はすべて、chikaさんのイメージ・アイデアを、素材に従いながら、
印刷所に納品できる形式にする、という作業をやっています。

8.asterium
プレイアデスの7姉妹の神話を元にした、コンセプトアルバム。
おそらく、多くの方がご存じな、集大成となる作品となっている。

デザイン面では、とにかくGユウスケさんのイラストすばらしい、の一言に尽きる。
ジャケット背景の星は、白地のもの・光るもの の2つに分かれている。
光っている星は、chikaさんの要望で、イラストを透明にして、下地の銀が出るようになっている。
星の形は、1つづつ異なるものになっている。

ブックレットの各曲タイトルで、赤い星があったり無かったりしている。
これは、曲に込められたコンセプトにより、このようになっている。
サークルロゴについては、前作の経験を生かし、枠・英語表記を削除する、という対応になっている。
Allegoriaと見比べて頂くとわかるが、ロゴに手が加わっている。

9.memoria
10周年を記念した、振り返りのアルバム。
メサブギ導入により、より重低音に力強さが加わった作品になっている。
M3 2013春にて頒布され、現在も各種同人ショップで入手が可能。
作品の視聴など、詳しい情報はこちらからどうぞ。

おまけCD企画の勃発などから、過去の植木屋史上、類を見ない位の切羽詰まったスケジュールで作成された。
Windowsのブルースクリーン、モニタースピーカーの不調 などなど。
この切羽詰まった状態に、拍車をかけたのがうちのサークルの「かくて月蝕の夜は来たりて」収録。ごめんなさい。
あまりの切羽詰まり具合に、差し入れが、いつもの酒類から、ミネラルウォーター・栄養ドリンクになった位である。

サークルロゴは、書体がブックレット内で使っているものと統一。
かわいいカフェのようなイメージのもの、との話から、現在の形になった。

Posted at 2013/05/13 01:29